モテないけど生きています、苦悩する男たちの当事者研究 ぼくらの非モテ研究会編を読みました。
僕自身モテなくて人生今だに苦しみのなかにいます。なんかヒントになればと手に取った一冊ですが、こんな本が世の中に出版されているんだなぁと驚きを隠せないものでした。
モテないけど生きています感想:非モテ会とは?
この本によるとモテない、モテたことのないそれは生きづらい人生を送っている男たちが集まり自分の非モテからくるつらいエピソードを語りあい、自分の生きづらさの正体を研究するのが「ぼくらの非モテ研究会」だそうです。
この本は、そんな「ぼくらの非モテ研究会」で生まれた研究発表と、その活動の歴史、軌跡を記した本です。なんとも不思議な本ですねぇー。(直球)
男が俺しぬほど惨めです!と云うのは勇気がいることです。
ましてやモテなくてしぬほど惨めです!なんて誰かに言った日には良くて説教、悪くて縁切りです。
だから、惨めさを表現するときには、自分のユーモアや狂気や表現力やら、自分が持っているものすべてを使って表現しなきゃいけません。聞いてもらえるよう必死にならなきゃいけません。
笑えない、傷だらけの人生を研究発表として昇華し、本に残した著者たちに僕は強い勇気や哀愁や葛藤を感じました。
これは、えらいブルースだなぁ‥。
モテないけど生きてます:男の心の暴露はブルースである
ちょっと話は脱線しますけども、かつてラッパーのZEEBRAさんが役者としてドラマにでたことがありました。
家庭教師役のZEEBRAさんがひきこもりがちの中学生に「この家にはブルースがねぇんだよぅ!」と怒鳴っていました。そのセリフの具体性のなさとそれを喋るZEEBRAさんの演技力のため当時ドラマを観ていた僕はそのぅ‥「ブルース」って言われても‥とドラマの主人公と同じ気持ちになってしまいました。
でも今思うに
ブルース、それは自分を表現する痛みとそれに伴うエネルギーのことなんじゃないかと思います。
自分のみじめな想いや怒りを言葉を使って表現することはそりゃあ大変なことです。
特に男はぺらぺらと弱音を吐くのはヨシとされていません、だから表現するために自分の持ちうるあらゆる手段を使います、ユーモアだったり、やさしさだったり、狂気だったり。
その表現からあふれる葛藤とか哀愁とかそういったエネルギーをひっくるめてブルース、とあのドラマでは呼んでいたんじゃないかと僕は解釈してます。大槻ケンヂが自分を高木ブーだ!と歌ったのもブルース!福満しげゆきが鬱屈にまみれたモテない青春を漫画にしたのもブルース!ほんでもってこのブログもブルースですねぇ!‥そういうことにしてください!
ときとしてそんな卑屈なブルースは人の孤独を慰めることもあります。
そんな悲しさやそれを笑い飛ばすユーモアをこの本から感じることができました。そしてこの本を読んだ誰かが俺は孤独ではなかったのだ、同じ痛みを持つものがこの世にいたのだ、と希望を与えうるだろうと思いました。
この本の枕に、この会を通じて生きづらい人生が生きやすくなったか?そのブルースのような発表を書くことで本人は生きやすくなったのか?という問に対してこんな文章が書かれています。
生きやすくなったと簡単に言えない‥‥。語りによって記憶の蓋を開けることは、さらなる困惑や苦痛をもたらすかもしれない。また、後ろ暗い過去や欲望を持っているのに、グループで仲間と出会い、自分の生きづらさを語り、そして気が楽になっていいのかという戸惑いもある。
哀しさと切なさと怒り、そして少しの喜び、そんな矛盾した感情どうしが混在して、その葛藤は誰かの孤独を癒すのかもしれないな、と思いました。
モテないけど生きてますは他人の話に聞こえない
もう少し本の内容に踏み込んで感想を書きます。
僕はこの本のタイトルからもう少し統計や論文の引用を多用した学術よりの読み物を期待していました。しかしこの本、当事者たちしか書けないコンプレックスや葛藤が下地にあり、思ったものと違って情熱とブルース(哀愁)に溢れたものでした。
感想としては俺もモテないけど、この人たちとは違う、でも、この人たちの言っていることはよく解る、といったものでした。
僕もモテなくてつらいけど、自分の性に汚らわしさを感じたことないし、彼女がいれば人生は一発逆転!リア充になれるなんて思ったことありません。
でもモテなくてツライから彼らの心が抱える問題の根本の原因は僕と同じだから言いたいことはよくわかります。
非モテ→ツライみじめである、一人ではそこで終わってしまう話を、語り合うことにより具体的に、より明細に悩みを掘り下げることができる、日常生活では体験できないことだなと思いました。
自己破滅願望(自分の惨めさを慰めるために他人を積極的にバカにすること)は、僕もその一人である気がします。でもそれがモテないことが原因であるとは自分も気付きませんでした。気づくことによってレポートの著者は人生の舵をとることができたようです。
彼は僕より若いですが僕より先を行っているのかもしれませんね。
本の後半にはそんな研究会の中で起こったトラブルも書いてあって、安心して積極的に意見が言える場を作る大変さが描かれています。人が集まる、ということはやはり得るもの以上のリスクと危険性があるのかもしれません。
それでもぼくらの非モテ研究会の勉強会に一度行ってみたいな、と思った富士さんたろうでした。
そして非モテで生きづらさを抱えている自分を含める男たちに祝福を!と祈らずにはいられません。
大阪かぁー遠いなぁー静岡在中
2020/10/26富士さんたろうが記す
オマケ:モテないけど生きてます語録
「モテないけど生きてます」の非モテ研で使われる非モテ研用語がなかなかにイタイイタイよ!なにかいけないことを思い出すからやめてくれー!と感じて面白かったので紹介します。
使われる言葉は世界観を作ります。「モテないけど生きてます」の世界観とイメージをこの用語集から得てくだされば‥。もっと踏み込んだことを知りたければ本を買いましょう!
【ポエム】思いを寄せる相手のことをどれだけしたっているか、どれだけあいたいかをしたためた文章。詩的な表現を伴うもおから、論文調のものまで様々。ときに告白してフラれたあとに長文で送り付ける場合もある。
身に覚え度★★★★★よくやる。
僕の場合、相手は女性よりも男性の場合が多いです。
でもなんでやるようになったのかと思い出すと小学校卒業の時に女の子から手紙を貰った経験が影響しているのかもしれません。
もらった方はとまどっただろうなぁーって思っちゃうねー
論文調は大いに草である。
ちょっと違うけど福満しげゆき著の僕の小規模な失敗でアプローチをしていた女の子から手紙を貰ってフられるシーンを思い出します。これでこの後この人と結婚するから世の中わからない。
【女神】女性と関わることが少ない環境・人生のなかに突如現れ、声をかけてくれたり優しくしてくれたりする女性を神聖視してそう呼ぶ。
身に覚え度★★★
モテない人生を送ってきましたが意外と自分は女性と普通に接することができます。
根っこのところに女性から人として見られなかったトラウマみたいのがありますが、それは確実に実在するけど少数派であるということも判っているつもりです。
ただ、靴を買い替えるように彼女を変えていく男以外は付き合っている彼女に男は女神を感じるのではないでしょうか?
【責めてくる声】思いを寄せる相手と一緒にいるときに聞こえてくる「今を逃すとあとがないぞ」という強迫的な声や、「押せばいける」と焦らせてくる声。
身に覚え度★★★★
よくわかる、でも自分の場合はあの時、あの時何故アプローチしなかったーとあとで後悔するパターンの責めてくる声ですね。
フラグたちまくりで相手にアプローチしないと向こうも傷つく、みたいです‥。
わからないけど、俺にはわからないけど‥
【ポジティブ妄想】「あの子、絶対俺のこと好き」「あの人はきっとこういう人」など、思いを寄せる相手の性格や自分との関係性を自己充足的に妄想すること
身に覚え度☆
これを身に着けてたら彼女できてたかもしれなません。時としてこういった暴走は必要なのかもしれません。まぁ、悪いように転ぶパターンしか想像できませんけど。
上げた4つの用語、つなげ方によってはとんでもない事件を起こしかねない可能性を秘めてますねぇ‥。