二回目の、家出
いろんなことが重なってなにもかもが嫌になっていた。
自分が嫌いだったし自分の送ってきた人生はもっと嫌いだった。
僕はおそらく人生最後の、そして二度目の「家出」をする。
携帯をマンションに置いて街をひたすら徘徊していた。
漫画喫茶やネットカフェに寝泊まりし
今日か、今日なのか、と自分にひたすら問い続けていた。
でもそれはできなかった。
お金も尽きて二週間ホームレスをした。寒かった。
長かった夏は過ぎて夜は寒く、朝はもっと寒かった。
屋根のある公園の休憩所で夜はしのいだ。
屋根がある、壁は無くてもこれだけでだいぶ寒さは違った。
もうだめだ、と思い父に公衆電話から電話した。
父は迎えにきてくれた。
手早く引っ越しを済ませると大家さんに謝り、僕は実家に帰った。
不思議な三ヶ月‥
実家に帰ると兵庫にあるこのシリーズの宗教の本部に僕はしばらく生活することになった。
ま、これも具体的に書けないんだけど。
僕は心療内科にかかることになった。三ヶ月間、五回くらいの診察だった。
薬を飲んでも効く、ということは無く、眠気だけが増した。
薬があってないのか?と医師から訊かれ、自分でもわかりません、と云ったらば
君がわからんことは俺にもわからんよ。と云われた。
僕はうつ病なんですかね?と訊くと‥抑うつ状態ではある‥と
ただ薬は少しずつ効いてきたのか、よく寝てたからかはわからないけど。
少しずつ元気は取り戻してきた。
三ヶ月して、多少よくなったので実家に帰るという判断をする。
施設の職員は精神的な疾患に理解がなかったようにみえる。
でも他の人に比べるとまだ自分はマシなのかな、と思った。
ただ恨み言を言うならば就職の話をボロボロの精神状態の僕にして
ま、お前のお父さんがなんとかするでしょっ
と話を締めたことは僕は一生忘れないだろう。
回復した、というよりは回復したフリをして脱出を謀ったといったほうがいいかもしれない。
富士に帰ると自分は早速就職活動を始めた。
ハロワの就職先生曰く、今は人不足でどこもひくてあまた、しかも三月、探すなら今でしょ!でも正社員という拘りはないほうがマッチングしやすいかもとの話、履歴書の書き方、面接のロールプレイ、そんなことをやりながらパワハラで辞めた事務のおばさんや、探せばいくらでもあるだろう営業経験のある美人のママさんや、定年したけどボチボチ働きたいというおじさん、いろんな人がいるなと思った。
就職活動はほんとに一瞬で終わる。
拍子抜けするくらいに、本当にこんなツッコミ所満載の自分を採ってくれて会社には感謝してもしつくせない。
これで一回人生シリーズを締めたいと思う。
長い話につきあってくれてありがとうございました。
2018/01/13記す