富士宮のイオンモールに映画「JORKER」を見てきました。
正社員で働いていた10年くらい前、一人でカイジを観に行ったことを休憩中に話したら瞬く間にアイツ一人で映画観に行ったんだってよ!ワロス!って噂が職場中に立ちました。
えぇ‥映画は基本一人で観るもんでしょうが‥と当時は反論したものです。
この街で映画観に行って納得。地方で映画みるっていうのはそれなりに手間のかかるイベントなのです。
都会で映画観に行くならば電車なりもより駅に行けばよい。ほんでチケット払ってみればいい、なんだったら映画館の前に金券屋があって安く前売りが買えたりする。気軽に楽しめる。芝居や園芸鑑賞も同じで服装はジーンズにパーカーで十分。
でも地方の場合、まず車出さなきゃいけないし、映画館がそもそも遠いし、何故かそういう所行くのにオシャレしなきゃいけないみたいな謎の意識がある。
まぁ鑑賞っていうのは一大イベントなわけですよ。田舎にとっては‥
そんなわけで精神障碍者3級の僕が映画ジョーカーを観てきました。富士宮までのイオンモールまで30分のドライブ、映画までの待ち時間、地味に大変でした。
‥そして映画「ジョーカー」はメンタルやられている人にとっては危険な映画でしたねぇ、えぇ‥。
障害手帳を持っていると映画、1000円で観れる劇場があります。イオンシネマの場合、障害手帳の提示無しで券売機でチケットが購入できました。
公共機関以外で障害手帳割引を使うのは初めて、こんな感じなんですね。
さて精神疾患を抱えるさんたろうが映画「JORKER」のレビューを始めるよ!
‥精神疾患はこの映画の一つのテーマでもありましてね。
映画「JORKER」ジョーカーのあらすじ
映画「ジョーカー」はバットマンシリーズのダークヒーローバットマンの宿敵ジョーカー誕生を描いたエピソードゼロストーリー。
アーサーは精神疾患を抱えた中年の男。意味もなく、唐突に爆笑してしまうという癖、というより障害を抱えている。‥あまりにも「生きづらい」生活だ。
そして一流のコメディアンになるべく活動をしている。
物語冒頭、ちんどん屋の仕事をピエロの恰好でしていた所、街の不良少年たちから暴行を受ける。
借りた看板は壊されるし、その日は仕事はできないし、そのことに事務所の社長はカンカンだし、散々な一日だ。
先輩芸人から、「自分の身は自分で守れ」と拳銃と弾をもらう。
この拳銃と弾が、彼の不安定な生活を一気に狂気の世界に落とし込んでしまう‥。
これはアーサーが、バットマンの宿敵狂気のカリスマジョーカーになるまでのおはなし。
アーサーは疾患のため笑っちゃいけない場面でも爆笑してしまいます。
しかし、笑う、という行為に喜びはない、むしろその笑いには悲しさと哀しみを感じさえます。
冒悲哀に満ちたアーサーの爆笑、これが映画「JORKER」の物語のすべてと云っても過言でないでしょう。
彼はコメディアンとして箸にも棒にも掛からぬ人間なのか?というとそんなこともなくて
物語の要所要所でアーサーはアドリブで踊りだします、アーサーの舞踏は圧倒されます。
アーサーはコメディアンになるために真面目に訓練に取り組んだ、そんな彼の人柄が見えます。
ガリガリの身体で、優しい心を持って真面目な男だがいつ狂気の世界に飛び込んでもおかしくない「危うさ」をもった人間、そんな男アーサー。
アーサーを演じるホアキン・フィニックスの身体造りから始まる芝居は魅力的です。
映画ジョーカーを観ておく前にこれだけは押さえておいて!
バットマンシリーズはDCコミックのヒーローです。アメコミっていうのは日本では考えられないシステムで一人のヒーローに書き手が何人もいます。
バットマン、といっても設定がほんといっぱいあってですね‥。
ジョーカーとバットマンについて知りたかったいなら映画「ダークナイト」を観ることをオススメします。バットマン誕生から宿敵ジョーカーとの決戦を描いた傑作ヒーローアクションです。
ダークナイトを観なくてもわかるバットマン、ジョーカーをみるために抑えてきたいことを軽くまとめます。
簡単!バットマン
無敵の!いやそうでもないけどヒーローバットマンを紹介します。
- 特に超人能力を持たない文武両道のおじさんである
- めっちゃ金持ちなのでバットマンのコスチュームはパワードスーツだったり、装甲車をぶっ壊す程度の性能を持っているバットモービルを持っている
- ちょっとおかしいレベルで有能な執事がいてバットマンの装備は彼が作っている
- 彼の活躍するゴッサムシティは貧富の差が激しく治安の悪い混沌の街
- バットマンは警察の裁けない悪人に鉄槌を下すダークヒーロー
- その動機として目の前で暴漢に両親を殺された少年時代の過去がある
- 彼のやってることは正義か、それとも、そもそも金持ちの道楽なのではないか
バットマンに関してはこんな感じです。正義とは?法とは?彼の活躍はそれを問いかけます。
これだけでいい、宿敵ヴィランジョーカー
悪のカリスマジョーカーについて紹介します。
- ゴッサムシティで暗躍するヴィラン(悪役)の一人
- 超人的能力を持つヴィランも多い中、圧倒的カリスマと狂気のみでバットマンに立ちはだかるヴィラン
- その見た目は白塗りのピエロである
どんな狂気でバットマンを追い詰めるのか、それはダークナイトを観てください。映画なのにフィクションなの‥こんなヤツいたらどうしよう‥そう思わせるほどのリアリティと恐怖を持ったキャラクターです。
基本的に予習なしでも映画ジョーカーは楽しめます
基本的に予習しなくても大丈夫です。バットマンvsスーパーマンのようなお前だれやねん!は全くといってほどありません。でもバットマンのバックボーンは知っておくと楽しめるかな?
このお話は生きづらい人生を送っている人と、貧困について描いた社会派ドラマです。
生きずらい人生、マトモな生活と狂気の世界の綱渡り
人は誰しもマトモな人間であるために狭い橋を渡っています。
そこから外れるとマトモじゃない人と世間から後ろ指を指される人生を送るハメになります。
広くてコンクリートでできた橋をもった人もいるかもしれない。
橋ではなくロープで綱渡りをせざるを得ない人もいるかもしれない。
どっちかというと僕は綱渡り派です。風が吹いたり、重心の立ち回りを間違えると真っ逆さまにマトモじゃない狂気の世界に落っこちてしまう。
精神疾患を抱える人はいつ落ちるかわからない綱渡りをいつも強要されているものかもしれません。
主人公アーサーは唐突に笑ってしまう障害を抱えていますが、それ以上に人生に生きづらさを感じています。
生き方があまりにも不器用、疾患のことを省いてもコメディアンなのに笑い所がおかしい、そして彼を支えるのは精神安定剤と、TVショウのみ。
そんな状態の彼が拳銃を手に入れることで一層不安定になります。
マトモであるための危険な綱渡り、映画ジョーカーでは終始この緊張感が付きまといます。
そして終盤、思ったより自分がマトモじゃなかったということに気づきます。
HPや宣伝文句には彼は心優しいコメディアン、と書かれていますが実際身近にこんな人がいた場合、どう思うでしょうか?
なるべくしてアーサーはジョーカーになったそう思う人もいると思います。
彼を「かわいそう」な人と思うことは幼い感想かもしれません。
しかし、やっかいなことに僕は、彼の生きづらさにシンパシーを覚えてしまいます。
映画「JORKER」の魅力:刺さるセリフ
映画「ジョーカー」、脚本と演出がずば抜けてすばらしいです。
多弁で単語が多いアーサーのセリフはどれも心に刺さります
自分がくるっているのか、それとも世間がくるっているのか
幸せにはなれる、だけどそれは長くは続かない
金じゃない!暖かい言葉とか、優しいハグとか、、とか、、!とか!
そして新聞やテレビで描写される世間の動向。手紙や心情を表すBGM。
そういった演出で極力説明セリフは少なく、その分心に刺さるものになっています。
とにかく主演アーサーの役の作りこみは必見です。
そして彼の母親(勿論老婆)の謎の色気にも注目です。
ただねー手紙やBGM、これ一部しか翻訳スパーが流れません‥絶対この歌詞や手紙、新聞意味あるよね?こんなに見えるようにわざわざ撮らないよねー‥。。
自分が英語しっかりわかる人だったらなーとここまで思った映画は珍しいです。
まとめ:映画「JORKER」は万人にはオススメできません
宣伝効果やバットマンシリーズの最新作ということでジョーカーの興行収入はこの秋の映画では一番のようです。
誰しも持ちうる(と感じてしまうのは僕が精神疾患を抱えているかもしれない)狂気をもった男が何故ヴィランジョーカーとなってしまったのか。
人間を辞めて怪人にまで踏み込んでしまったのはなぜか?そんな内容でした。
優しい心を持ったコメディアンが何故狂気の怪人になってしまったのか?その宣伝文句と食い違いを感じました。
精神的に参っている人にはオススメできません。ホアキン・フィニックス演じるジョーカーの狂気に連れていかれてしまうから
自分の人生に自信を持っている人はオススメできません。ジョーカーの人生が一切理解できないと思うから
しかし序盤から続くマトモであるための綱渡り、終盤の緊張感はこの映画でしか体験できません。
貧困、虐待、精神疾患、社会の抱えるメッセージ性もあり、間違いなく映画「ジョーカー」は歴史に残る名作です。ただしうつの人にはオススメ!できませェン!
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